Fei Fah Factory Tour - 忘れられない一日

心に残る香りがあります。

多くのシンガポールの人々にとって、それは薬用オイルのどこか懐かしい香りです。樟脳、メントール、そしてハーブがやさしく漂う香り。幼い頃の台所、祖父母の引き出し、一日の終わりに疲れた肩をいたわる時間を思い出させてくれます。私たちの工場へ足を踏み入れた瞬間、その記憶がよみがえったという方も少なくありませんでした。

2002年から2017年まで、Fei Fah Singaporeは工場見学を一般公開し、単なる製造現場ではなく、シンガポールの歴史と文化を感じられる場所として、多くの方々をお迎えしました。長年にわたり、何万人もの来場者が私たちの工場を訪れました。若者、高齢者、ご家族、地域団体、学校、さまざまな組織の皆さまが集い、好奇心と笑顔、そして会話にあふれる温かな時間を共有しました。そこには、人と人とのつながりを大切にする、まさに「カンポン・スピリット(地域の助け合いの精神)」が息づいていました。何度も足を運んでくださる方々や、笑顔あふれる来場者との出会いも、このツアーの大きな魅力でした。

時代と伝統をたどるひととき

Fei Fahの工場見学は、慌ただしいものではありませんでした。

まずはスタッフがお迎えし、Fei Fahの幅広い製品をご紹介しました。緑色のボトル、見慣れたラベル、そして子どもの頃に家で見かけたことがあると懐かしむ方も多いバームなど、親しみ深い製品が並びました。

続いて、バームができるまでの製造工程や、1960年代から続くFei Fahの歩みをご紹介する映像をご覧いただきました。当時はシンガポール各地で直営店を展開していましたが、Electric Balmは多くのお客様からご支持をいただき、その人気は店舗だけでは対応しきれないほどに広がりました。その後、Fei Fahは卸売を中心とした事業へ移行しましたが、工場を訪れてくださる方々のために、小さな直販コーナーは残し続けました。

誰もが覚えているひととき

そこには、いつも笑い声がありました。

実演マッサージは、毎回ツアーで最も人気のあるプログラムでした。希望された参加者にバームやオイルを塗布し、疲れた筋肉やこわばった関節をやさしくケアしました。「肩が凝っていて」「買い物で腕が疲れてしまって」「鼻が詰まっていて」「頭が重くて」といった話題で会話も弾み、多くの方が、昔から親しんできた心地よさをあらためて実感されていました。

その後は自然と質問の時間へ。原材料について、配合について、どのバームがどんな不調に適しているのか。スタッフは一つひとつ丁寧にお答えし、その光景は毎年変わることなく続いていました。

製造現場の舞台裏

開催日によっては、実際の製造ラインをご覧いただくこともできました。

ワックスをゆっくりと加熱して溶かし、オイルを丁寧に調合し、一本一本のボトルに充填し、キャップを閉め、ラベルを貼る。その一つひとつの工程は静かで確実に進められ、製品づくりに込められた細やかな心配りを感じていただけるものでした。

心に残る小さな楽しみ

工場見学の最後には、製品のお試しや工場限定価格でのお買い物、さらに抽選会もご用意していました。ご来場いただいた皆さまには、お土産が入ったグッディバッグをお渡しし、小さくても思い出に残る品を持ち帰っていただきました。

また、多くの方がFei Fahにはバームだけでなく、日々の健康維持をサポートする伝統的なハーブティーなど、さまざまな製品があることを初めて知ってくださいました。

ツアーは終わっても、受け継がれる想い

工場見学プログラムは2017年に終了しましたが、その思い出は今も私たちの中に生き続けています。

心に残っているのは、製造工程や製品だけではありません。交わした会話、尽きることのない好奇心、そして多くの人々と共有した思い出です。何万人もの来場者とともにつくり上げた温かなコミュニティは、人とのつながりの大切さと、助け合いの心を象徴する「カンポン・スピリット」そのものでした。何度も訪れてくださる方々や、笑顔で工場を後にする皆さまの姿は、今でも私たちの大切な記憶です。

工場見学は終了しましたが、その精神は今も私たちが一本一本製造する製品の中に受け継がれています。誠実な処方、日常に寄り添う実用性、そして伝統への静かな敬意。

一つの章は幕を閉じました。

それでも、私たちの物語はこれからも続いていきます。

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